お知らせ

お知らせ :多忙のため更新が遅れてます。動物雲のホームページにでも来てください。

自然な雲が見せるアート!「雲の動物園」 → https://sites.google.com/site/cloudanimalzoo/

2011年9月27日火曜日

夏の終わりの記憶。少年時代の謎女性。

エッセイ 第4話

『起きて、、、行くわよ。』
本当に起こしに来るとは、、、家族を起こさぬように、ソッと出掛けました。


うちの両親は、子供達を滅多に旅行などに連れて行かない不思議な親でした。
物心付かない内は、海水浴・潮干狩り・動物園などには連れてったようですが、
(写真は有り)記憶では、羽田空港・後楽園遊園地くらいしか覚えが有りません。

ですから、学校の林間・臨海学校、社会科見学が大変待ち遠しかったです。
きっと両親の仲が悪かったので、そんな家庭環境になったのでしょうね。

でも世間体が悪く思ったのか、父親は会社の所有する湖に有る保養所に、二度
ほど家族を行かせました。

滅多に旅行など出来ない私は、何もかも新鮮で、今でもその時の出来事を鮮明に
覚えている程です。

そんな時の謎女性。




「うろこ雲参上」
FinePix S1Pro Tokina17mm  f10.7 s1/2048
(クリックで拡大、1200×800)

 (フォト:1)「うろこ雲、始めました。」気象庁の軒先に、掲示される
今日この頃ですが。。。皆様、如何お過ごしでしょうか?

ウソですよ。本当に見に行かないで下さいね!気象庁も、それ位
粋だと嬉しいですが。。。

でも、うろこ雲が出始めると、夏も終わったな~と思いますね。

(正式には、巻積雲・高積雲と言うそうです。鰯雲、鯖雲、羊雲とも呼ばれてます。)

--------------------------------------------------------------------




保養所の職員の娘のようで、歳はおそらく十九・二十歳。こちらは、小学生半ば。
最初に出会った時から妙に親しげで、あれやこれやと世話を焼いてくれました。

対等な物言いには、つい此方も背伸びして話してしまう程の不思議な関係でした。
そんな中の、3・4日目頃の夜半に、「明日の早朝に、湖でボートに乗らない。」と
誘われました。

ボートなら今日も兄と乗ったし、彼女も朝食の手伝いなどで忙しかろうと思ったので
すが、強引な誘いなので素直に従いました。

「じゃ、朝に起こしに行くから!」と、言うのですが、客室にどうやって入って来る
のかなと思いつつ、眠りにつきました。





「のっぽん」
FinePix S1Pro Tokina28-70mm(28mm)  f2.8 s1/10
(クリックで拡大、1200×800)

(フォト:2)残暑の中、浜松町に呑みに行った帰り道、のっぽんに灯りが
点いたので、撮って見ました。何故か和風な景色に馴染んでいるんですよね。

まだ地に足が着いてないような、(ツリーに使う言葉では、ないですが)
スカイツリーとは違い、歴史の風格が出てますね。

---------------------------------------------------------------------




起こされて二人でソッと抜け出した外は、空気がヒンヤリ冷たく、朝靄に行く手は
まるで見えず、こんな中でボートに乗れるのかな??と子供心で思いました。

ボート乗り場に着くと、話は付けてあるからと勝手にボートを出し、彼女のオール
捌きで波の無い湖面に漕ぎ出しました。

彼女は、とても楽しげで、本来ならば男の私が漕がなくてはイケナイのに、手馴れた
操船で湖の真ん中まで直ぐに着きました。

そんな時に、遠くからパワーボートに乗った男衆がやって来て、盛んに私達を冷や
かします。どうやら彼女の顔馴染みのようで、そんな彼らに苦笑いをしていました。

早朝の従業員達(地元の幼馴染達?)のお楽しみなのでしょうか、そんなパワー
ボートが沢山疾走していました。

そんな冷やかしに満足??したのか、「もう、戻らないと。」と言って、岸へ折り
返しました。



「空一文字」
FinePix S1Pro Tokina28-70mm(70mm)  f10.4 s1/431
(クリックで拡大、1200×800)

(フォト:3)
「夏の終わり、少しは涼しくなって来て、清々しい空を貫く飛行機は、
白い尾ッポを残します。」

成田からのヨーロッパ便でしょうか?その真っ直ぐ感は、何か優等生に
見えますね。

-----------------------------------------------------------------------




帰りの山道を歩く頃には、朝靄も無くなり、夏の朝日が眩しく、二人は何も言わず
歩きました。坂を上れば、もう少しで帰れる所まで来た時。。。

突然彼女が前を見たまま話し始めました。

「明日ね、お嫁に行くんだ。。。私。」

私は、子供的には、事態は分かりました。
でも、男として何をどう考えていいやら。。。
沈黙した時間が、風音も無く過ぎて行きました。

フリーズした私をそこに残し、「先に帰るね。」と彼女は、此方を見ずに急に走って
帰りました。
長い白木綿のスカートが、スローの残像のように靡いて行きます。

それっきりです。翌日には、本当に彼女は居ませんでした。
親御さんに聞くわけも行かず、親に話すわけも行かず。フリーズした私は、今でも
そのままです。





「9・16、都心で低空過ぎるぞ!」
FinePix S1Pro Tokina28-70mm(70mm)  f4.2 s1/128
(クリックで拡大、1200×800)

(フォト:4)アレ、東京タワー方角から低空で、飛行機がこちらにやって来ます。
羽田の着陸やり直し機でしょうか?山手線の上を一周中、我が家にその腹を見せに
来ました。低すぎだよ!!スカイツリーに当たりそー。ヘタクソ、この劣等生!

----------------------------------------------------------------------




撮影記:

今年は、いつまでも暑かったのに、急に涼しくなりましたね。
うろこ雲も始まり、秋の風がとても懐かしく肌に弾けます。

いくつなっても、毎度夏の終わりは「セツナイ」ですね。
また幼い日々の夏の記憶ほど、今になると段々と鮮明に蘇ります。

皆さんどんな夏の記憶を忘れずにいますか。私にとっての、少年時代の夏の記憶。
あの日からフリーズしたままの私は、今でも女心が全て謎です。












---------------------------------------------------------------------


追記:

(今時の二十歳に読んで貰ったら、全く理解出来ないようなので補足します。)

時代は、昭和30年代末。地方では、まだ子供や女性の生き方を親が決めた世代。
今、考えてみれば思い当たる節もありますね。








↓ 他のエッセイもご覧頂けたら幸いです。


↑ ブログトップへ。





0 件のコメント:

コメントを投稿